「目の手術ってどのくらいお金がかかるんだろう?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。白内障や網膜剥離などの病気による手術から、レーシックのような視力矯正手術まで、眼科手術には種類も費用もさまざまです。
保険が使えるのか、高額療養費は適用されるのか、日帰りと入院でどれくらい差があるのか——知っておくべきポイントは意外と多いもの。この記事では、眼科手術の種類・費用・保険の仕組みをわかりやすくまとめています。手術を検討している方や、費用の目安を知りたい方にとって参考になれば幸いです。
眼科手術一覧と種類別の基礎知識
眼科で行われる主な目の手術とは?
眼科手術は大きく「治療目的の手術」と「視力矯正を目的とした手術」の2種類に分けられます。治療目的の手術は病気や外傷が原因で行われるもので、健康保険が適用されるのが一般的です。一方、レーシックやICLのような屈折矯正手術は原則として自由診療(保険適用外)となります。
主な眼科手術の一覧は以下のとおりです。
| 手術の種類 | 主な対象疾患・目的 | 保険適用 |
|---|---|---|
| 白内障手術 | 水晶体の濁り | ○(一部自費あり) |
| 硝子体手術 | 硝子体出血・黄斑疾患など | ○ |
| 網膜剥離・裂孔手術 | 網膜の剥がれ・裂け目 | ○ |
| 緑内障手術 | 眼圧コントロール | ○ |
| 斜視・眼瞼手術 | 斜視、まぶたのたるみなど | ○(条件あり) |
| レーシック | 近視・遠視・乱視の矯正 | × |
| ICL(眼内コンタクトレンズ) | 近視・乱視の矯正 | × |
| 多焦点眼内レンズ挿入術 | 白内障+老眼同時矯正 | 選定療養 |
手術の目的と保険適用の有無を最初に把握しておくと、費用の見通しが立てやすくなります。
目の手術が必要な病気は?症状チェックリスト
次のような症状がある場合は、眼科での精密検査や手術が必要になるケースがあります。自己判断せず、早めに受診することが大切です。
▼白内障が疑われる症状
- ものがかすんで見える
- 光がまぶしく感じる(羞明)
- 視力が落ちてきた
- メガネを変えても見えにくい
▼網膜・硝子体疾患が疑われる症状
- 視野の一部が欠けている
- 黒い点や虫のようなものが飛ぶ(飛蚊症)
- 突然の光が見える(光視症)
- ものが歪んで見える(変視症)
▼緑内障・その他が疑われる症状
- 視野が徐々に狭まってきた
- 目の痛みや頭痛がある
- 片目で見ると二重に見える
これらの症状が続く場合は、放置せず眼科を受診してください。早期発見・早期治療が予後に大きく影響します。
手術費用と保険診療の仕組みをやさしく解説
手術費用はどう決まる?診療報酬と自己負担
保険が適用される手術の費用は「診療報酬点数」という国が定めた基準に基づいて計算されます。1点=10円で換算され、手術の種類・難易度によって点数が異なります。
たとえば白内障手術(水晶体再建術)の診療報酬点数は術式によって異なりますが、保険診療の場合は全国一律の基準のため、クリニックによって大きく変わることはありません。患者が実際に支払う自己負担額は、その総医療費に「負担割合(1〜3割)」をかけた金額です。
なお、使用する眼内レンズの種類(単焦点 or 多焦点)や手術方法の一部は「選定療養」扱いとなり、追加費用が発生する場合があります。
1割・2割・3割負担の違いと上限
日本の健康保険制度では、年齢や収入によって自己負担の割合が異なります。
| 対象者 | 自己負担割合 |
|---|---|
| 小学校就学前の子ども | 2割 |
| 小学生〜69歳 | 3割 |
| 70〜74歳 | 2割(現役並み所得者は3割) |
| 75歳以上(後期高齢者) | 1割(現役並み所得者は3割) |
自治体によっては子ども医療費助成制度があり、実質的な自己負担がゼロになるケースもあります。お住まいの市区町村の窓口で確認してみましょう。
高額療養費制度と医療費控除の手続き
医療費が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される「高額療養費制度」が利用できます。自己負担限度額は年齢と所得区分によって異なりますが、一般的な70歳未満の場合(標準的な所得区分)はおおよそ以下のとおりです。
【標準報酬月額28万〜50万円の場合の目安】
自己負担限度額=80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
事前に加入している健康保険組合や協会けんぽに「限度額適用認定証」を申請すると、窓口での支払いを最初から抑えることができます。
また、年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合は「医療費控除」を確定申告で申請できます。手術費用だけでなく、交通費や薬代なども対象になるため、領収書はしっかり保管しておきましょう。
種類別費用早見表|白内障・硝子体・網膜・レーシック
白内障手術費用は80万円って本当?眼内レンズ(単焦点/多焦点)の焦点数で変わる
白内障手術の費用は、使用する眼内レンズの種類によって大きく異なります。「80万円」という数字が一人歩きしていることもありますが、これは主に多焦点眼内レンズ(選定療養)を使用した場合の目安です。
| レンズの種類 | 保険適用区分 | 1眼あたりの目安費用 |
|---|---|---|
| 単焦点眼内レンズ | 保険適用 | 約15,000〜45,000円(3割負担) |
| 多焦点眼内レンズ(2焦点) | 選定療養 | 約20〜40万円(保険外差額あり) |
| 多焦点眼内レンズ(3焦点・高機能) | 選定療養 | 約30〜60万円(保険外差額あり) |
| 完全自由診療の多焦点レンズ | 保険適用外 | 約40〜80万円 |
単焦点レンズは保険適用で安く受けられますが、遠くか近くの一点にしかピントが合いません。多焦点レンズは術後のメガネ依存度が下がる分、費用は高くなります。どのレンズを選ぶかは、ライフスタイルや予算に合わせてよく検討しましょう。
硝子体手術の費用内訳と術後ケア
硝子体手術は、眼球内部のゼリー状組織(硝子体)を切除・処置する手術で、糖尿病網膜症・黄斑円孔・硝子体出血などに対して行われます。手術は高度な技術を要するため、難度の高い部類に入ります。
| 項目 | 費用目安(3割負担) |
|---|---|
| 手術費用(複雑な場合) | 約50,000〜90,000円 |
| 麻酔・入院費(3〜5日の場合) | 約30,000〜60,000円 |
| 術後点眼薬・外来通院 | 数千〜1万円程度/月 |
術後は数週間〜1か月程度、うつ伏せや安静が必要になるケースもあります。術後ケア用品(うつ伏せ用クッションなど)を用意する方も少なくありません。
網膜剥離・網膜裂孔の手術費用と合併症リスク
網膜剥離は視力を失うリスクもある緊急性の高い疾患です。治療法は病状によって異なり、主に以下の3つが選択されます。
| 術式 | 特徴 | 費用目安(3割負担・片眼) |
|---|---|---|
| 網膜光凝固術(レーザー) | 網膜裂孔の早期処置 | 約5,000〜15,000円 |
| 強膜バックル術 | 眼球外側からの補修 | 約50,000〜100,000円 |
| 硝子体手術(増殖性) | 眼球内部からのアプローチ | 約60,000〜110,000円 |
合併症リスクとして、再剥離・増殖性硝子体網膜症・白内障進行などが知られています。再手術が必要になると追加費用がかかるため、術後の定期検診はしっかり受けることが大切です。
レーシックの費用相場と長期矯正効果
レーシックは角膜をレーザーで削って屈折を矯正する手術で、保険は適用されません。費用はクリニックや使用するレーザー機器によって異なります。
| 内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 両眼レーシック(スタンダード) | 約20〜30万円 |
| 両眼レーシック(ハイグレード) | 約30〜45万円 |
| 術前検査 | 無料〜1万円程度 |
| アフターケア・再矯正 | 数万円〜(条件による) |
長期的な矯正効果については、多くのケースで術後10〜20年以上にわたって良好な視力が維持されると報告されています。ただし、加齢による老眼の進行は防ぐことができないため、40代以降は老眼との兼ね合いも考慮したうえで検討しましょう。
眼内の手術リスクとケア費用
どんな手術にもリスクはつきものです。眼科手術で起こりうる主なリスクと、その際に想定される追加費用の目安をまとめます。
| リスク | 対応・治療 | 追加費用の目安 |
|---|---|---|
| 感染症(眼内炎) | 抗菌薬の点眼・注射 | 数万〜十数万円 |
| 後発白内障(白内障手術後) | レーザー治療(YAGレーザー) | 約5,000〜15,000円 |
| 眼圧上昇・緑内障 | 点眼薬・手術 | 月数千円〜 |
| ドライアイの悪化 | 点眼・処置 | 月数百〜数千円 |
術後のリスク管理のためにも、手術後の定期検診や処方された点眼薬の継続使用は怠らないようにしましょう。
日帰り手術と入院期間の差額はいくら?
日帰り白内障手術のメリット・デメリット
近年、白内障手術は多くのクリニック・病院で「日帰り手術」として対応できるようになっています。
▼メリット
- 入院費・食事代が不要で費用を抑えられる
- 自宅で過ごせるため精神的な負担が少ない
- 仕事や家庭への影響を最小限にできる
▼デメリット
- 術後すぐに帰宅するため、自宅でのセルフケアが重要になる
- 体調急変時に対応が遅れる可能性がある
- 交通手段を自分で確保する必要がある(術後の自動車運転は不可)
日帰り手術でも入院手術でも、手術そのものの質や安全性は変わりません。体の状態や自宅の環境、生活サポートの有無などを踏まえて医師と相談して決めましょう。
入院期間が必要なケースと追加コスト
病状が重い場合や全身麻酔が必要な場合、術後の管理が必要な場合は入院が必要になることがあります。
| 入院日数の目安 | 対象となるケース | 追加費用の目安 |
|---|---|---|
| 1〜2泊 | 硝子体手術・緑内障手術など | 約10,000〜30,000円 |
| 3〜5泊 | 網膜剥離・複雑な硝子体手術など | 約30,000〜70,000円 |
| 1週間以上 | 合併症発生・全身疾患との兼ね合い | 約50,000円〜 |
入院費には、食事代(1食あたり約460円・保険適用外)や差額ベッド代(個室希望の場合)が別途かかることもあります。差額ベッド代は病院によって異なりますが、個室は1日5,000〜20,000円程度が一般的です。
片眼・両眼で変わる通院スケジュール
白内障手術など、両眼を手術する場合は通常1〜2週間の間隔を空けて片方ずつ手術します。
▼片眼手術の場合(一般的なスケジュール)
- 術前検査(手術の1〜2週間前)
- 手術当日
- 翌日・1週間後・1か月後の術後検診
▼両眼手術の場合
上記スケジュールが2回分発生するため、通院回数・費用・時間がほぼ倍になります。交通費や仕事を休む日数なども考慮に入れておきましょう。
選定療養の対象になる眼科手術と費用の落とし穴
多焦点眼内レンズは選定療養、保険適用外部分はいくら?
「選定療養」とは、保険診療と自由診療を組み合わせることが認められた特別な仕組みです。多焦点眼内レンズを使った白内障手術は2020年4月から選定療養の対象となり、手術の基本部分は保険適用、レンズの差額分は自費で支払う形になっています。
| 費用の内訳 | 内容 |
|---|---|
| 保険適用部分 | 手術費・麻酔・単焦点レンズ相当分 → 1〜3割負担 |
| 選定療養(自己負担)部分 | 多焦点レンズの差額 → 全額自己負担 |
多焦点レンズの差額は製品によって大きく異なり、1眼あたり10〜50万円以上になるケースもあります。「保険適用になった」という情報だけを鵜呑みにして高額な請求に驚かないよう、事前に費用の内訳をしっかり確認しておくことが重要です。
保険と自費診療の境界線をチェック
眼科手術における保険・自費の境界線は、以下のように整理できます。
| 保険適用 | 自費(または選定療養) |
|---|---|
| 白内障手術(単焦点レンズ) | 多焦点・トーリックレンズ差額 |
| 網膜・硝子体手術 | レーシック・ICL |
| 緑内障手術 | 美容目的の眼瞼手術 |
| 斜視手術 | 屈折矯正を目的とした手術全般 |
「視力が悪い」という理由だけでは保険適用にならないことがほとんどです。保険が使える条件は「疾患の診断があること」が前提となります。
コンタクトレンズやメガネで矯正できない場合の治療選択肢
矯正手段としての屈折矯正手術とレンズ交換
度数が高すぎてコンタクトやメガネで十分に矯正できない場合、あるいはコンタクトが装用できない場合には、手術による矯正が選択肢になります。
| 手術の種類 | 対象 | 費用目安(両眼) |
|---|---|---|
| レーシック | 角膜の厚みが十分にある方 | 約20〜45万円 |
| ICL(有水晶体眼内レンズ) | 高度近視・角膜が薄い方 | 約55〜90万円 |
| 多焦点眼内レンズ(白内障) | 白内障がある中高年 | 約30〜120万円 |
ICLはレーシックよりも費用は高めですが、角膜を削らないためドライアイになりにくく、可逆性(元に戻せる)があるのが特徴です。角膜形状や眼の状態によって適した術式は異なるため、術前の精密検査が不可欠です。
質問・予約前に確認したい検査・時間・費用
手術を検討する際は、以下の点を事前に確認しておくとスムーズです。
- 適応検査(術前検査)の費用:無料〜1万円程度。クリニックによって異なる
- 検査にかかる時間:2〜3時間程度が一般的(散瞳検査が含まれる場合は当日の運転不可)
- 手術当日の流れと所要時間:受付〜帰宅まで2〜4時間程度
- 術後の制限事項:洗顔・入浴・運動・仕事の制限期間
- 保証・再手術の条件:術後に視力が変化した場合の対応があるか
「費用の総額」だけでなく、術後のアフターケアや保証の内容まで含めて比較・検討することをおすすめします。
診療から術後案内までの流れと保険手続き
受診予約から術前検査までの流れと時間
眼科手術を受けるまでの一般的な流れは以下のとおりです。
- 受診・問診:症状の確認と基本的な視力・眼圧検査
- 精密検査:眼底検査・角膜形状解析・散瞳検査など(2〜3時間)
- 手術の適応判断・説明:術式・費用・リスクについての説明と同意
- 術前の全身状態確認:血液検査・内服薬の確認(抗血小板薬は休薬が必要な場合あり)
- 手術日の決定・スケジュール調整
術前検査では散瞳薬を点眼することが多く、検査後数時間は視界がぼやけます。検査当日は車・バイク・自転車での来院は避け、公共交通機関や送迎を利用してください。
術後の保護メガネ・点眼・通院案内
手術後は以下のようなケアが必要です。費用や手間を事前に把握しておきましょう。
▼保護メガネ・眼帯
- 術後1週間程度、就寝時に保護メガネや眼帯の装用が必要なケースがあります
- 費用は数百〜1,000円程度(クリニックで配布される場合あり)
▼点眼薬
- 抗菌薬・抗炎症薬・人工涙液など複数の点眼薬が処方されます
- 術後1〜3か月間の継続使用が一般的で、費用は月あたり1,000〜3,000円程度
▼術後通院スケジュール(目安)
- 翌日・3日後・1週間後・1か月後・3か月後(術式によって異なる)
▼日常生活の制限(目安)
| 行為 | 制限期間の目安 |
|---|---|
| 洗顔・シャワー | 術翌日〜3日程度 |
| 入浴(湯船) | 1週間程度 |
| 飲酒 | 1週間程度 |
| 運動・激しい動作 | 2〜4週間程度 |
| コンタクトレンズ装用 | 1か月以上 |
点眼のし忘れや通院の中断は感染症・合併症リスクを高めます。面倒に感じるときもあるかもしれませんが、術後のケアは手術と同じくらい大切です。
まとめ

眼科手術の費用は、手術の種類・保険適用の有無・使用するレンズや機器・日帰りか入院かによって大きく異なります。白内障の単焦点レンズなら保険適用で数万円程度ですが、多焦点レンズや視力矯正手術になると数十〜百万円単位になることもあります。
高額療養費制度や医療費控除を活用することで、実質的な負担を抑えられるケースも多いので、制度の仕組みを知っておくことはとても重要です。手術を検討する際は費用の総額だけでなく、術後ケアの内容・保証の有無・通院スケジュールまで含めて総合的に判断するのがおすすめです。
「自分に合った手術はどれか」「保険は使えるのか」など、疑問や不安があれば、まずは眼科での相談・検査から始めてみてください。しっかりと情報を集めたうえで、自分に合った選択ができると安心ですね。
