コンタクトレンズの原理とは?見える仕組みと種類ごとの違い

「こんなに薄くて小さなレンズなのに、どうしてつけるとよく見えるのだろう?」。毎日コンタクトレンズを使っていても、その原理までは意識したことがないかもしれません。

コンタクトレンズは、目に入る光の曲がり方を調整し、網膜にピントが合うように補うものです。目の表面にのせるだけですが、レンズの形や度数、レンズと角膜の間にある涙が、見え方に関わっています。

この記事では、まず目でものが見える仕組みを確認し、近視・遠視・乱視を補正する原理をやさしく解説します。ハードとソフトの違い、遠近両用の仕組み、メガネとの違いも順番に見ていきましょう。

コンタクトレンズの原理は「光の屈折」を調整すること

コンタクトで見えるようになる理由を知るには、「光がどこに集まるか」を考えるとわかりやすくなります。目とレンズを別々に考えるのではなく、光がレンズを通り、目の奥に届くまでをひと続きで見てみましょう。

目は角膜と水晶体で光を集め、網膜に像を結ぶ

目の働きは、カメラに例えられます。角膜と水晶体はカメラのレンズ、目の奥にある網膜は像を受け取る場所に当たります。ものをはっきり見るには、網膜の位置にピントが合うことが大切です。

光が空気からレンズなどの別の物質へ進むとき、境目で進む向きが変わることがあります。これが「屈折」です。目でも、この働きを利用して光を集めています。

  1. ものから届いた光が目に入る
  2. 角膜と水晶体で光が屈折する
  3. 網膜に像を結び、その情報が脳へ伝わる

水晶体には厚みを変えてピントを調節する働きもあります。しかし、目の屈折の状態によっては、遠くを見たときに焦点が網膜からずれ、ぼやけてしまいます。そこで、目に入る前の光を補正するレンズが役立つのです。

薄いレンズでも、光の進む向きを変えられる

コンタクトレンズをつけると、光はまずそのレンズを通ってから角膜や水晶体へ進みます。コンタクトが光の進み方をあらかじめ変えることで、目だけではずれていたピントを網膜に合わせやすくします。

レンズの働きは、大きさや厚さだけで決まるわけではありません。前面・後面のカーブや素材などを組み合わせて、必要な光の曲げ方になるように設計されています。小さなレンズでも、瞳孔に入る光を適切に補正できれば、見え方を助けられます。

なお、一般的な視力補正用コンタクトは、つけている間の見え方を補うものです。通常のレンズを使うだけで、近視や遠視そのものが治るという意味ではありません。

参考サイト:日本眼科学会「近視・遠視・乱視」

近視・遠視・乱視はどう補正する?

コンタクトはどれも似た形に見えますが、目の状態に応じて必要な光の曲げ方が異なります。ここでは、近視と遠視の違いから見ていきます。

近視にはマイナス、遠視にはプラスのレンズを使う

次の表は、ピントを合わせる調節を休めた状態で、遠方からの光がどこに集まるかを整理したものです。

目の状態遠方からの光の焦点補正の考え方
正視網膜上に合うこの条件では、近視・遠視を補うレンズは不要
近視網膜より手前に合うマイナスのレンズで光を広げる方向に変え、焦点を後ろへずらす
遠視網膜より後ろに合うプラスのレンズで光を集める方向に変え、焦点を手前へずらす

近視では、光が網膜に届く前に集まってしまいます。そこで凹レンズの働きをするマイナスのレンズを使い、目に入る光を広げる方向へ補正します。反対に、遠視では凸レンズの働きをするプラスのレンズで光を集め、焦点のずれを補います。

「遠視は遠くならよく見える」と思われがちですが、いつもそうとは限りません。調節する力が強い方は、目の働きでずれを補って見えている場合もあります。

箱に書かれた「−3.00」などの数値は、レンズが光を曲げる強さを表す度数です。視力検査の「0.3」「1.0」とは別のものなので、視力だけから必要なレンズは決められません。表示の読み方はコンタクトレンズの度数と視力の違いで解説しています。

参考サイト:日本眼科学会「近視・遠視・乱視」

乱視用レンズは「光を曲げる方向」も合わせる

乱視では、角膜や水晶体のゆがみなどによって、光が一点に集まりにくくなります。代表的な正乱視は、方向によって光の曲がり方が違う状態です。単に近視用の度数を強めても、その方向差まで適切に補えるとは限りません。

乱視用のソフトコンタクトには、方向によって異なる屈折力を持たせた「トーリック」という設計が使われます。補正の強さに加え、乱視の方向を示す「軸」を合わせることが重要です。

例えば、必要な向きに合わせたレンズが目の上で回転すると、補正する方向もずれてしまいます。そのため、乱視用レンズには向きを安定させる工夫があります。ただし、まったく回転しないわけではなく、目の上での位置や動きの確認も必要です。

乱視があれば全員が同じ種類のレンズを使うわけではありません。乱視の程度や原因、ハードレンズで補正できるかなども含めて、眼科で判断します。

参考サイト:アキュビュー「乱視を矯正する方法とレンズの構造」

目の上にとどまるのはなぜ?涙とフィット感の役割

コンタクトの原理には、光学的な度数だけでなく、レンズが目の上で安定する仕組みも関わっています。「角膜にぴったり貼りつけば、よく見える」というわけではありません。

コンタクトレンズと角膜の間には涙がある

コンタクトは、接着剤で目に固定するものではありません。レンズと角膜の間には涙があり、その表面張力などによって、目の上に安定してのっています。レンズのカーブと目の形の関係も、位置の安定に関わります。

また、レンズは完全に静止しているわけではなく、まばたきに伴って動きます。この動きは、レンズの下の涙の入れ替わりにも関係します。

つまり、「少し動くから合っていない」「動かないほどよい」とは、一律に判断できません。レンズの種類に応じた位置や動きになっているかを確かめる必要があります。

適切なフィッティングが、安定した見え方を支える

レンズの光学的な部分が適切な位置にあってこそ、意図した補正が働きます。ずれが大きかったり、乱視用レンズの軸が安定しなかったりすると、度数が合っていても見え方が揺れることがあります。

ここでいう「フィット」とは、角膜へ強く密着させることではありません。目の上で無理なく安定し、必要な動きもある状態を確認することです。

レンズのカーブを示すBCや直径のDIAだけで、装用状態のすべてはわかりません。度数とあわせて、実際につけた状態を眼科で見てもらうことが大切です。

参考サイト:メニコン「目やコンタクトレンズに涙があたえる影響を勉強しよう」

ハード・ソフト・遠近両用で仕組みはどう違う?

光の屈折を調整するという基本は共通ですが、レンズの硬さや光学的な設計には違いがあります。「ハード・ソフト」は素材などの分類、「乱視用・遠近両用」は補正機能の分類なので、同じ一列に並ぶ別々の種類ではありません。

ハードはレンズと角膜の間の「涙のレンズ」も利用する

ハードコンタクトは形を保ちやすく、レンズの後ろと角膜の間に涙の層ができます。この涙も光の通り方に影響するため、「涙液レンズ」と呼ばれます。

角膜の表面にゆがみがあっても、レンズと角膜の間を涙が満たすことで、その影響を補える場合があります。この性質は、角膜由来の乱視や、不正乱視のある目の視力補正にも利用されています。

ただし、ハードならどのような乱視も完全に補正できる、ということではありません。ゆがみの原因や程度によって、レンズの設計・適合の検討が必要です。涙の働きを含めて補正する点が、理解しておきたい特徴です。

ソフトはやわらかい素材が目の形になじむ

ソフトコンタクトは水分を含むやわらかい素材でできており、目の表面の形になじみやすいレンズです。レンズの形や素材による屈折力を使って光を補正します。

角膜の形に沿いやすいため、ハードの涙液レンズと同じように角膜のゆがみを補えるわけではありません。ソフトで乱視補正が必要な場合には、前述したトーリック設計などを用います。

仕組みを比べる点ハードコンタクトソフトコンタクト
レンズの性質硬く、形を保ちやすいやわらかく、目の形になじみやすい
涙との関係レンズと角膜の間の涙液レンズも補正に関わる涙は装用の安定に関わるが、ハードと同じ補正作用ではない
乱視の補正角膜由来の乱視を補える場合がある補正が必要なときは乱視用の設計などを検討する

これは優劣を決める表ではなく、見え方を補う仕組みの違いです。実際の見え方や装用感は、目の状態とレンズの組み合わせによって変わります。

参考サイト:メニコン「コンタクトレンズの長所・短所まとめ」

遠近両用は1枚に遠く用・近く用の度数を組み込む

老眼では、近くにピントを合わせる調節の働きが弱くなります。遠近両用コンタクトは、それを補うために、1枚の中に遠く用と近く用の度数を配置しています。度数が段階的に分かれるものや、なだらかに変化するものなど、設計はさまざまです。

ソフトの遠近両用で用いられる同時視型では、遠く用・近く用の光が同時に目に入ります。見たいものにピントが合う情報を利用して見る仕組みで、レンズが距離を測って度数を自動で切り替えるわけではありません。

例えば、遠方の標識と手元の文字では、必要な見え方が異なります。1枚で両方を補助しますが、どの距離も同じようにはっきり見えるとは限りません。レンズの設計や目の状態によっては、見え方への慣れや、遠方・近方のバランス調整が必要になります。

参考サイト:クーパービジョン「遠近両用ソフトコンタクトレンズに関する質問」
参考サイト:クーパービジョン「プロクリア ワンデー マルチフォーカル」

なお、ワンデー・2weekなどは使用・交換の方法を示しており、「光を補正する原理がまったく違う」という分類ではありません。素材・交換方式・機能の整理はコンタクトレンズの種類をご覧ください。

メガネとコンタクトは、光を曲げる位置が違う

メガネもコンタクトも、レンズで光の屈折を調整する点は同じです。大きな違いは、メガネが目から離れた位置にあるのに対し、コンタクトは角膜のすぐ上にあることです。

レンズと目の距離が、度数や像の大きさに関わる

同じ度数のレンズでも、目からの距離が変わると補正効果は変わります。このため、とくに度数が強い場合には、メガネとコンタクトで必要な度数が異なることがあります。

また、コンタクトは目に近い位置にあるため、メガネと比べて像の拡大・縮小の影響を抑えやすいという特徴があります。強い近視のメガネからコンタクトに変えたとき、ものの大きさが違って感じられるのは、この違いも関係します。

ただし、距離の違いだけから自分で度数を換算して購入するのは避けましょう。涙やレンズの動きなども含め、装用した状態で確認する必要があります。詳しくはメガネとコンタクトレンズの度数の違いで説明しています。

フレームがなく、目の動きに伴ってレンズも動く

メガネは顔に固定されているため、横を見たときにレンズの端やフレームが気になることがあります。コンタクトにはフレームがなく、目の動きに伴ってレンズも動くので、視線を変えたときも視界を確保しやすくなります。

これは「メガネではフレームの外が何も見えない」「コンタクトなら必ず視野が何度になる」という意味ではありません。度数やレンズの状態などで見え方は異なります。位置の違いが見え方にもつながる、と理解しておくとよいでしょう。

参考サイト:メニコン「コンタクトレンズの長所・短所まとめ」

度数が合っていても、ぼやけることがあるのはなぜ?

ここまで見てきたように、コンタクトの見え方は度数だけで決まりません。光が通る面の状態や、レンズの位置が変わると、見え方にも影響します。

例えば、次のような点が関係します。

  • 涙の状態が不安定になり、レンズ表面を均一に覆いにくくなる
  • 汚れが付着して、レンズの透明性や表面の状態が変わる
  • レンズがずれたり、乱視用レンズの向きが安定しなかったりする
  • 目の状態が変わり、これまでの度数が合わなくなる

「よく見えないから、もっと強い度数にすればよい」とは限りません。いつから、片目か両目か、遠くと近くのどちらが見えにくいかなどを伝えると、眼科で原因を確認する手がかりになります。

痛み・充血・急な見えにくさなどの異常があるときは、無理に装用を続けず、レンズを外して眼科を受診してください。原理の理解は役立ちますが、症状だけで乾燥や度数の問題と決めつけないことも大切です。

参考サイト:アキュビュー「乱視用コンタクトレンズ・使用上の注意」

まとめ

コンタクトレンズは、目に入る光の屈折を調整し、網膜にピントを合わせやすくするものです。近視にはマイナス、遠視にはプラスのレンズを使い、乱視では補正する方向も合わせます。遠近両用は、1枚に複数の距離に対応する度数を組み込んだ設計です。

また、目の上での位置や動き、レンズと角膜の間にある涙も見え方に関わります。ハードとソフトでは涙の補正作用などに違いがあり、単に強く密着すればよく見えるわけではありません。

仕組みがわかると、度数だけでなく装用状態の確認が必要な理由も見えてきます。見え方が安定しないときは自己判断で度数を変えず、目とレンズの両方を眼科で確認してもらいましょう。

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