ダイビングでコンタクトレンズは使える?マスク内の水濡れと安全対策

「ダイビングでも、いつものコンタクトレンズを使える?」「マスクに水が入ったら、レンズはどうなるの?」と気になっていませんか。水中では景色だけでなく、仲間の合図や計器の数字も見える必要があるため、視力の補い方は事前に考えておきたい点です。

ソフトコンタクトレンズを使って潜る人はいますが、マスクの浸水による水濡れや紛失、目の不調への備えが欠かせません。水とレンズの接触を避ける方法として、まず度付きダイビングマスクを検討しましょう。コンタクトレンズの使用を考える場合は、眼科医とダイビング事業者へあらかじめ相談してください。

この記事では、スクーバダイビングを想定し、レンズの種類による注意点、度付きマスクとの比較、水が入ったときの対応、潜水後の受診目安を説明します。

ダイビングでコンタクトレンズを使えるかは、事前に相談する

普段の装用に問題がなくても、水中で同じように使えるとは限りません。視力を補う必要性と、レンズを水に触れさせないことの両方を考えて、方法を選びましょう。

「装用する人がいる」と「誰でも安全」は別の話

潜水医学の情報を提供するDAN(Divers Alert Network)は、ソフトレンズを装用して潜る人がいる一方で、乾燥・刺激・海水への接触などに注意が必要と説明しています。目の状態や装用中の感じ方には個人差があり、気になる点があれば眼科の専門家、特に潜水医学に詳しい医師への相談を勧めています。

一方、米国CDCは、コンタクトレンズをつけたまま水に入ることを避け、水泳などの前には外すよう案内しています。ダイビングマスクを使っていても、水が絶対に入らないわけではありません。「ソフトなら大丈夫」「マスクがあるから感染しない」と受け取らないことが大切です。

相談時には、使っているレンズの商品名や種類、普段の乾き・充血の有無に加え、体験ダイビングなのか、講習なのか、複数回潜る予定なのかを伝えましょう。現地でレンズを交換するだけで解決できると考えず、代わりの見え方も準備しておきます。

参考サイト:DAN「Wearing Contact Lenses While Diving」
参考サイト:CDC「Healthy Habits: Keeping Water Away from Contact Lenses」

景色だけでなく、手信号や計器が見えるかを確かめる

「海の中はぼんやり見えても楽しめそう」と思うかもしれませんが、仲間の合図や、残圧計・ダイブコンピューターの表示を確認できることが重要です。PADIも、視力を補う方法を決める際に、計器の数字や手信号が見えるかを確認するよう案内しています。

裸眼視力の数値だけで、自分は矯正なしでも潜れると判断しないようにしましょう。遠くは見えても手元の数字が読みづらい場合や、左右の見え方に差がある場合もあります。器材を合わせる段階で、実際に何が見えにくいのかをインストラクターへ伝えてください。

参考サイト:PADI「Scuba Diving With Contacts or Glasses」

ソフト・ハード・ワンデーで注意点はどう違う?

「ソフト・ハード」はレンズの種類、「ワンデー・2週間交換」などは使用期間の区分です。水中での扱いと、外した後のケアを分けて考えると、選ぶ際の疑問を整理できます。

ハードは、外れやすさ以外の問題も確認する

DANは、潜水中にコンタクトレンズを使う場合、眼科の専門家にソフトレンズの処方を相談するよう案内しています。ハードや酸素透過性ハードでは、不活性ガスが多く体内に蓄積する潜水で、角膜とレンズの間に気泡ができ、痛みや見え方のかすみを生じることがあるためです。

これは「ハードは少し外れやすいだけ」という話ではありません。ただし、ソフトへ替えれば誰でも問題なく潜れるという意味でもありません。普段ハードを使っている方は、旅行直前に自己判断でソフトを買い足すのではなく、度付きマスクも含めて早めに相談しましょう。

レンズの種類・使用期間ダイビング前に確認したい点
ソフトレンズ潜水中に使われることはあるが、浸水時の水との接触や紛失への備えが必要
ハード・酸素透過性ハード気泡による痛みやかすみの問題があるため、普段どおり使わず眼科で相談する
ワンデーソフト外した後は廃棄する。装用中の感染や紛失を防ぐ製品という意味ではない
再使用型ソフト外した後の洗浄・消毒・保管が必要。次の潜水までにケアを省略しない

参考サイト:DAN「High-Pressure Ophthalmology」
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズの使用方法について」

ワンデーの便利さと、目の安全性を混同しない

ワンデーは外したら捨てるため、使用済みレンズを保管して再使用する必要がありません。一方、「後で捨てれば水が入ってもよい」とは考えないでください。使い捨てでも、装用している間に水が目やレンズへ触れることは防げません。

一度外したワンデーを、休憩後にもう一度つけることはできません。また、目に異常がある場合は、新品へ交換しただけで潜水を再開しないようにします。予備レンズは目の不調を解決する道具ではないと考えておきましょう。

参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズの使用方法について」

度付きマスクで、コンタクトレンズを使わずに視力を補う

度付きマスクは、マスク側のレンズで視力を補う方法です。コンタクトレンズの水濡れや、流される心配を避けたい方にとって、有力な選択肢になります。

顔へのフィットと、自分に合う度数の両方を確認する

度付きレンズに対応するマスクには、左右で異なる度数を入れられるものや、遠く・近くの見え方に対応したレンズがあります。ただし、どのマスクでも、すべての度数や乱視に対応できるわけではありません。

例えばGULLは、処方箋に応じたオーダーメイドレンズを案内し、対応するマスクや加工範囲に条件を設けています。処方を受けるときにダイビングで使うことを伝え、器材店では必要な見え方と製品の対応範囲を確認してください。普段のコンタクトレンズの度数を、そのままマスクに当てはめて選ばないようにしましょう。

度数だけでなく、顔に無理なく密着するかも大切です。締め付けを強くして合わせるのではなく、複数のマスクを試着し、スタッフとフィットを確認します。レンタルを希望する場合も、予約時に度付きマスクの有無・度数・サイズを問い合わせておくと、当日の選択に困りにくくなります。

参考サイト:GULL「ORDER MADE LENS」
参考サイト:PADI「マスク」

マスクを外したときの見え方まで考えて選ぶ

度付きマスクは、外すと矯正されなくなります。コンタクトレンズと比べるときは、水中だけでなく、船上・陸上で器材を着脱する場面も想像しておきましょう。

比較する場面度付きマスクコンタクトレンズ+マスク
水中での視力補正マスクのレンズで補う装用したコンタクトレンズで補う
マスクに水が入ったときコンタクトレンズの流失は起こらないが、マスクの対処は必要レンズへの水濡れ・流失に注意が必要
マスクを外したとき矯正されないため、見えにくさへの備えが必要レンズが適切に装用できていれば視力補正が続く
終了後陸上用メガネへ切り替え、マスクは説明書に沿って手入れする水との接触や症状を確認し、廃棄・ケア・受診を判断する

一般的なメガネをマスクの下へ無理に入れると、器材のフィットを損なうおそれがあります。普段のメガネは陸上用として持参し、水中ではダイビング用に設計された矯正方法を相談してください。

参考サイト:PADI「Scuba Diving With Contacts or Glasses」

マスクへの浸水や、見えにくくなったときに備える

マスクが合っていても、浸水やずれが起きる可能性はあります。水中で初めて対処を考えるのではなく、講習や事前の打ち合わせで確認しておくことが大切です。

マスククリアと、見えないときの合図を事前に確認する

マスククリアは、マスク内に入った水を排出する操作です。コンタクトレンズを装用する場合、PADIはマスクへ水を入れる練習や取り外す練習の際に、目を閉じてレンズの紛失を避けるよう案内しています。ただし、閉眼すれば水との接触を完全に防げるという意味ではありません。

インストラクターにコンタクトレンズの使用を伝え、目を閉じた状態での練習や、見えなくなった場合の補助方法を確認しましょう。バディとは「見えにくい」と伝える合図を決めておくと、トラブル時に状況を共有しやすくなります。文章を読んだだけで操作を済ませず、指導を受けて練習してください。

また、マスク内の圧力を調整できないと、顔や目の周囲が引っ張られるマスクスクイーズが起こります。強い締め付けで解決しようとせず、圧平衡の方法も講習で確認しましょう。潜水後の目の赤みを、すべてレンズの乾燥のせいにしないことが大切です。

参考サイト:PADI「Scuba Diving With Contacts or Glasses」
参考サイト:DAN「Mask Squeeze(Facial Barotrauma)」

水中では安全な潜水終了を優先し、陸上でレンズを扱う

水が目に触れた、レンズがずれた、見えにくくなったときは、次の流れで対応します。目のために急いで浮上するのではなく、呼吸と浮力を保ち、講習で習った安全手順を優先してください。

  1. インストラクターやバディへ、浸水・見えにくさ・痛みなどを合図で伝える。
  2. 指導を受けた方法でマスクに対処し、異常があれば潜水を中止して、安全な手順で終了する。単独で急浮上しない。
  3. 船上や陸上の安全な場所に戻り、手を石けんで洗って十分に乾かしてから、できるだけ早くレンズを外す。
  4. ワンデーは廃棄する。水が触れた再使用型はそのまま戻さず、製品の指示に沿って洗浄・消毒する。
  5. 痛みや見え方の異常があれば再装用・次の潜水を控え、速やかに医療機関へ相談する。

CDCは、水が触れたレンズを廃棄するか、再使用前に一晩かけて洗浄・消毒するよう案内しています。休憩中に軽くすすぐだけで次の潜水に使うことは避けましょう。ソフトレンズを海水・水道水・飲料水で洗ったり保存したりせず、指定のケア用品を使ってください。

レンズが張り付いて外れない場合は、無理に引っ張らないでください。対応に迷う場合や外せない場合も眼科へ相談します。水中でマスクを外してレンズをつけ直そうとしないことも大切です。

参考サイト:CDC「Healthy Habits: Keeping Water Away from Contact Lenses」
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「ケア用品について」

潜る前の準備と、潜水後に受診したい症状

現地で困らないためには、器材の準備だけでなく、目の調子やレンズを扱う場所も確認しておきましょう。目の病気や手術歴がある場合は、レンズの種類を決める前に、潜水そのものについて主治医へ相談する必要があります。

予備のメガネと、清潔に扱える場所を用意する

持ち物は、水中でのトラブルをその場で直すためではなく、安全に終了した後の生活にも備えて準備します。次の項目を出発前に確認してください。

  • 陸上や帰宅時に使える、度数の合ったメガネとケース
  • 度付きマスクを使う場合は、対応度数・顔へのフィット・予約状況
  • レンズを使用する場合は、処方されている予備と、必要なケア用品・専用ケース
  • 手洗いと乾燥に使う清潔な用品、砂や水しぶきから持ち物を守る袋
  • 現地でレンズを外せる場所と、目に異常が出たときの相談先

予備があっても、濡れた手や砂の付いた手ではレンズを扱わないようにします。点眼薬を持参する場合は、装用中に使える製品かを確認し、眼科医や製品の指示に従ってください。点眼だけで感染を防いだり、安全に潜水を続けられたりするわけではありません。

通常の運動時の使い方はスポーツのときだけコンタクトレンズを使う場合の選び方、プールでの練習前にはプールとコンタクトレンズの注意点も参考にしてください。

参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズの使用方法について」

急な視力低下・二重に見える・視野の異常は急いで相談する

潜水後の見えにくさを「レンズがずれただけ」と決めつけないでください。DANは、潜水後の視力低下、二重に見える、視野の一部が見えない、目の周囲の痛みなどについて、潜水に伴う病気やけがも含めて、速やかな診察が必要としています。

これらの症状や強い痛みがある場合は、次の潜水を中止し、現地スタッフへ伝えて、救急医療機関などへ速やかに相談してください。受診時には潜水したことと、その深度・時間、症状が始まった時点を伝えます。目の充血・まぶしさ・目やになどがある場合も、レンズの使用を中止して眼科を受診しましょう。

手術後の潜水再開時期は、手術の内容や回復状況によって異なります。全員に共通する日数を当てはめず、主治医の確認を受けてください。コンタクトレンズによる目の病気全般については、角膜の傷・感染症と受診目安で説明しています。

参考サイト:DAN「High-Pressure Ophthalmology」
参考サイト:日本眼科医会「コンタクトレンズ関連情報」

まとめ

ダイビングでコンタクトレンズを使う場合は、目の状態やレンズの種類、マスクへの浸水を考えて事前に相談しましょう。ソフトやワンデーでも、水濡れ・紛失・感染のリスクがなくなるわけではありません。度付きマスクも検討し、手信号や計器まで見える方法を選ぶことが大切です。

水中で異常が起きたら、仲間に合図を伝えて安全な手順で潜水を終了します。レンズを外すのは清潔に扱える場所へ戻ってからにし、水が触れたものは適切に廃棄・ケアしてください。急な見え方の変化や痛みは自己判断で様子を見ず、潜水したことを伝えて速やかに受診しましょう。帰りのメガネまで用意しておくと、無理にレンズを使い続けずに済みます。

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