コンタクトレンズをつけてパソコンに向かうと、目が乾く、夕方になると画面が見づらい。そんなとき、「デスクワーク向けのレンズに替えれば楽になるのでは」と考える方もいるでしょう。
パソコン作業で確認したいのは、レンズの機能だけではありません。画面までの距離に合う見え方、目に合ったフィッティング、装用時間、作業環境をあわせて見直すことが大切です。素材や広告の言葉だけで、誰にでも疲れにくいレンズを選べるわけではありません。
この記事では、パソコンをよく使う方が眼科で相談したいレンズの条件と、仕事中の使い方、メガネとの切り替え方を説明します。
パソコン作業に使うレンズは、まず「見る距離」から考える
同じコンタクトでも、遠くの標識を見るときと、机の上の画面を見るときでは、目の使い方が異なります。「視力検査ではよく見えた」という結果に加え、普段の仕事で無理なく見えるかを確かめましょう。
遠くの視力だけで、画面の見やすさを決めない
近くを見るとき、目はピントを合わせる調節を行います。遠方がはっきり見える度数でも、近くを長く見続ける場面では負担を感じることがあります。日本眼科医会も、パソコンの距離に合わせて調整したメガネやコンタクトを使うと、楽になる場合があると説明しています。
ただし、これは「パソコン用なら度数を一段弱くする」という意味ではありません。近視・遠視・乱視の状態や、近くにピントを合わせる力によって、適した調整は異なります。今の度数を自己判断で変えず、遠くと画面の両方の見え方を眼科で相談してください。
参考サイト:日本眼科医会「屈折異常と眼精疲労」
参考サイト:日本眼科医会「パソコンと目」
普段の画面・書類・通勤時の見え方を伝える
診察では「パソコンを使います」だけでなく、目から画面までのおおよその距離を伝えると、作業場面を説明しやすくなります。ノートパソコン、外付けモニター、手元の書類など、よく見るものも整理しておきましょう。
例えば「ノートパソコンと紙の資料を交互に見る」「大きな画面を少し離して使う」「仕事の後に車を運転する」では、必要な見え方の範囲が違います。画面だけ見やすくなればよいとは限らないため、仕事以外の用途も含めて相談することが大切です。
近くの文字を離したくなる、以前より画面にピントが合いにくいといった変化も伝えてください。レンズを替えるか、作業用のメガネを組み合わせるかは、検査と生活上の必要性を踏まえて決めます。
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズ使用者の皆様へ」
素材や機能は、目への適合と使い方を含めて選ぶ
乾きにくさや酸素の通りやすさは気になるポイントですが、数値の高さだけで選ぶと、肝心の装用感や見え方を見落とすことがあります。レンズの特徴と、自分の目での状態を分けて確認しましょう。
含水率・酸素透過性だけで「疲れにくい」と判断しない
眼科でのレンズ選びでは、視力や角膜のカーブのほか、涙の状態、装用したレンズの動き、使用環境などを確認します。パッケージにある含水率や酸素透過性は、こうした診察の代わりにはなりません。
高い酸素透過性を持つ素材でも、度数やフィッティング、作業環境の問題まで解決するとは限りません。「酸素を通すから残業中も外さなくてよい」「含水率が低ければ必ず乾かない」といった選び方は避けましょう。
| 確認する条件 | パソコン作業で確かめたいこと | 決めつけないようにしたいこと |
|---|---|---|
| 度数・見え方 | 普段の画面と手元の資料が、無理のない姿勢で見えるか | 遠くの視力が高いほど、近くの作業にもよい |
| 素材・レンズの設計 | 乾き方、レンズの動き、目の表面の状態に問題がないか | 含水率や酸素透過性の一つの数値で適性が決まる |
| 交換周期・ケア | 毎日の手入れや交換を、仕事の生活リズムの中で続けられるか | ワンデーなら乾燥せず、長時間使っても問題ない |
表の項目を全部自分で判定する必要はありません。「夕方に乾く」「画面を見るとレンズが気になる」など、実際に困っている場面を伝え、診察で確かめてもらいましょう。素材や交換周期の詳しい選び方は、乾きにくく目が疲れにくいコンタクトレンズの選び方でも説明しています。
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズ使用者の皆様へ」
ワンデーと再使用タイプは、手入れの続けやすさも比較する
ワンデーは使うたびに新しいレンズを開け、一度外したものは再使用しません。日々のレンズの洗浄・保存が不要な点は、忙しい生活で選ぶ際の検討材料になります。ただし、途中でメガネへ替えた後に、そのレンズをもう一度つける使い方はできません。
2weekなどの再使用タイプは、指定されたケアと交換時期を守って使います。2weekは「装用した日を合計して14日」ではなく、開封してからの期間で管理します。残業や出張で手入れがおろそかになりやすい場合は、その点も含めて選び方を相談してください。
どちらも、パソコン作業での乾燥や疲れを必ず防ぐ仕組みではありません。使い捨てかどうかと、自分に合うかどうかは分けて考えましょう。
参考サイト:メニコン「1日使い捨てコンタクトレンズ」
ブルーライトカットだけを選ぶ理由にしない
画面を長く見るからといって、ブルーライトカット機能が必須になるわけではありません。日本眼科医会が掲載する米国眼科アカデミーのQ&Aでは、ブルーライトカット眼鏡の眼精疲労予防効果は認められなかったと説明されています。
これは眼鏡についての情報であり、すべてのコンタクト製品の機能を一律に評価したものではありません。一方で、特定の光を減らす割合を、そのまま「目の疲れを減らす割合」と解釈することもできません。
まずは度数や装用状態、休止の取り方、映り込みなどを確認しましょう。コンタクトの上にブルーライトカット眼鏡を重ねることも、レンズを外して目を休ませることの代わりにはなりません。
参考サイト:日本眼科医会掲載「米国眼科アカデミーのブルーライトに関するQ&A」
画面の位置と作業環境を整える
レンズが目に合っていても、文字が小さくて顔を近づけたり、風が目に当たり続けたりする環境では、作業しづらさが残ります。まずは普段の席で調整できるところから確認してみましょう。
距離・高さ・文字サイズを一緒に調整する
厚生労働省の情報機器作業ガイドラインでは、画面との距離をおおむね40cm以上確保し、画面上端は目の高さとほぼ同じか、やや下にすることが望ましいとされています。距離だけを離して文字が読めなくなる場合は、表示を拡大し、必要に応じて矯正も見直します。
| 気になる状態 | 席で試せる調整 | 調整後に見るところ |
|---|---|---|
| 小さい文字を読むために顔が近づく | 文字や表示倍率を大きくしてから画面位置を調整する | 身を乗り出さなくても読めるか |
| 画面を見上げる・首を曲げ続ける | 椅子や画面の高さ・角度を見直す | 無理のない姿勢で画面と書類を見られるか |
| 窓や照明が画面に映り込む | 画面の向きや明るさ、ブラインドなどを調整する | 反射を避けるために姿勢を崩していないか |
在宅勤務で複数の場所を使うなら、「会社では問題ないが、自宅のノートパソコンでは見づらい」といった違いも記録しておくと役立ちます。機器を替える前に、今の設定で調整できる部分を確かめましょう。
参考サイト:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(改正後全文)」
空調の風を避け、まばたきを意識する
画面に集中すると、まばたきが減って涙が蒸発しやすくなります。意識してまばたきをし、空調や卓上扇風機の風が直接目に当たらないようにしてください。室内が乾燥しすぎている場合は、環境の調整も考えます。
自分の席から風向きを変えられなければ、座る位置や設備について職場へ相談する方法もあります。目薬だけでその場をしのぐのではなく、毎日続く条件を一つずつ見直しましょう。乾燥への基本的な対処は、コンタクトレンズで目が乾く原因と対策で解説しています。
参考サイト:日本眼科医会「パソコンと目」
作業の休止と、コンタクトの装用時間を分けて管理する
パソコンから離れる時間と、コンタクトレンズを外す時間は同じではありません。作業を休んだからといって、装用時間が最初に戻るわけではないため、両方を意識して予定を立てましょう。
連続作業の途中にも、小休止を入れる
厚生労働省のガイドラインでは、連続作業を1時間以内とし、次の連続作業まで10~15分の作業休止を設け、その途中にも1~2回程度の小休止を入れる考え方が示されています。職場の作業形態や個人の状態に応じて、無理のない計画を立てるための目安です。
「この入力が終わるまで」と区切りを延ばしやすい方は、予定表や通知で休止のきっかけを作ってみましょう。休止中もスマートフォンを見続けるのではなく、画面から視線を外します。会議や入力が続いて休止しづらい場合は、仕事の組み方について上司などへ相談してください。
参考サイト:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(改正後全文)」
1日の装用時間は、通勤や帰宅後も含めて考える
レンズをつけている時間は、パソコン作業中だけではありません。朝の支度から帰宅後までを含めて確認し、眼科で指示された装用時間を守ってください。一律に「12~16時間まで使える」と決めたり、酸素透過性が高いことを理由に延長したりしないようにしましょう。
残業が多い日は、仕事の途中でメガネへ替える、在宅勤務の日は最初からメガネを使うなど、生活に合う方法を考えます。毎週何日外せば十分、という固定の休止日数で管理するより、日々の状態と指示された使い方を優先してください。
昼休みに仮眠を取るときも注意が必要です。通常の終日装用レンズは、寝るときに外すタイプです。短い仮眠だからと、つけたまま眠らないようにしましょう。
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズの使用方法について」
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズについて」
メガネへ切り替える準備と、眼科での相談の進め方
コンタクトとメガネを使い分けられると、仕事中にレンズを外す必要が出たときも対応しやすくなります。替えのメガネは持っているだけでなく、今の見え方に合うものを用意しておきましょう。
メガネも、普段の作業距離に合うものを用意する
コンタクトを外した後に使うメガネも、普段の画面や書類が見やすいかを確認しましょう。古いメガネを予備として持っていても、今の目や作業距離に合っているとは限りません。遠くは見えるのに画面の文字が読みづらい場合は、そのことを眼科で伝えてください。
画面用のメガネや近用の補助が必要かは、作業距離と見え方を伝えて相談してください。どの距離まで使えるものか、移動や運転には使えるかも確認しておくと、使い間違いを防ぎやすくなります。
なお、メガネに替えれば乾燥や疲れが必ずなくなるわけではありません。切り替えた後も見えにくさが残るときは、その違いを診察時に伝えましょう。
参考サイト:日本眼科医会「屈折異常と眼精疲労」
仕事中の困りごとをメモして相談する
眼科では、検査で分かることに加えて、普段の使い方も処方を考える手がかりになります。受診前に次の内容をまとめておくと、困っている場面を具体的に説明できます。
- 使用中のレンズの製品名・度数・交換周期
- 朝つけてから外すまでの時間と、パソコンを使う時間
- 画面や書類までのおおよその距離、使っている機器
- 乾きや見づらさが出る時間帯と、左右差の有無
- メガネに替えたときの見え方、使用している目薬
相談から見直しまでの流れは、次のように考えると分かりやすくなります。
- いつ・どの作業で困るかを、メモとレンズの情報を使って伝える。
- 視力だけでなく、目の表面や涙、装用状態を確認してもらう。
- 度数やレンズの変更、メガネ併用、装用時間について指示を受ける。
- 見直した後の状態を確かめ、指示された時期に再診する。
調子がよくても、定期検査は眼科医の指示に従って受けましょう。違和感が出た場合は、次の検査予定日まで待つ必要はありません。
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズ使用者の皆様へ」
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズの使用方法について」
痛みや充血があるときは、仕事の工夫より装用中止を優先する
痛み、充血、涙や目やにの増加などがある場合は、レンズを外して眼科へ相談してください。外しても痛みが続く、急に見えにくくなったときは、速やかに受診します。目薬で抑えながら装用を続けたり、新しい製品を買って試し続けたりしないことが大切です。
乾燥なのか、度数や別の目の問題なのかは、症状だけでは決められません。疲れが続く場合の考え方は、コンタクトレンズでパソコン作業をすると目が疲れる原因と対策も参考にしてください。
参考サイト:日本眼科医会「防ごう目のトラブル!!コンタクトレンズの眼合併症」
まとめ
パソコン作業で使うコンタクトレンズは、素材や機能だけでなく、画面までの距離に合う度数、目へのフィット、装用時間をあわせて確認することが大切です。含水率や酸素透過性、ブルーライトカットの表示だけで、疲れにくさを判断することはできません。
画面の位置や文字サイズ、空調の風を見直し、連続作業の途中にも目を休める時間を設けましょう。メガネへ切り替えられる準備も役立ちます。度数や種類を変える前には、普段の作業距離や困る時間帯を眼科で伝えてください。痛みや充血がある場合は装用を中止し、外しても痛む、急に見えにくいといったときは速やかに受診しましょう。