「コンタクトレンズをつけると目がゴロゴロする」「最近、充血やかすみが気になる」。こうした変化を、疲れやレンズの汚れだけと考えて使い続けていませんか。コンタクトレンズの使用に伴い、角膜の傷や感染症、アレルギー性結膜炎などが起こることがあります。
異常を感じたら、まず装用を中止して眼科へ相談してください。強い痛み、外しても続く痛み、見え方の変化がある場合は、受診を急ぎましょう。この記事では、主な目の病気とその違い、症状が出たときの行動、日頃の予防と定期検査について説明します。
コンタクトレンズで起こる主な目の病気
目の表面を覆う角膜は、いわゆる黒目の部分にある透明な組織です。コンタクトレンズはこの角膜の上にのるため、目の表面の状態や使い方の影響を受けます。まずは代表的な眼障害を確認しましょう。
角膜上皮障害・角膜炎:傷や炎症が起こる
角膜のいちばん外側を覆う上皮に、傷がついたり、上皮がはがれたりする状態が角膜上皮障害です。レンズの汚れや摩擦、長すぎる装用などが関係し、異物感や痛みが出ることがあります。
また、レンズの装用によって涙の膜が不安定になると、目の表面が乾きやすくなり、摩擦が増す場合があります。乾燥感やゴロゴロ感があるときに、目薬で一時的に楽になったからと無理に使い続けることは避けましょう。
「角膜炎」は角膜に炎症が起きた状態を指し、原因は一つではありません。感染が関係する場合もあり、感覚だけで単なる乾燥や軽い傷と見分けることはできません。
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズによる目の病気」
参考サイト:日本眼科学会「コンタクトレンズ障害」
感染性角膜炎・角膜潰瘍:視力に影響することもある
レンズなどに付着した病原体が、目の表面の傷から侵入すると、感染性角膜炎を起こすことがあります。原因には細菌のほか、カビの仲間である真菌や、アカントアメーバという微生物などがあります。
角膜潰瘍は、炎症や感染などによって角膜の組織が欠け、深い傷になった状態です。「角膜炎」と「角膜潰瘍」は、まったく無関係な病気として分かれるわけではなく、感染が進んで潰瘍を生じることもあります。
痛みや充血、目やに、まぶしさ、見えにくさなどが現れ、角膜が白く濁る場合があります。緑膿菌やアカントアメーバによる感染は重い角膜障害につながることがあり、治療後にも濁りや視力への影響が残る可能性があります。
見た目で白い点がないから、痛みがまだ弱いからと、感染を否定することはできません。市販の目薬だけで対処しようとせず、眼科で原因と必要な治療を確認してください。
参考サイト:日本眼科学会「コンタクトレンズ障害」
参考サイト:日本コンタクトレンズ協会「コンタクトレンズによる目の病気」
アレルギー性結膜炎・巨大乳頭結膜炎:かゆみや目やにが出る
花粉などによるアレルギー性結膜炎では、レンズの刺激や付着したアレルゲンによって症状が悪化することがあります。また、レンズの汚れや刺激に関連して、上まぶたの裏に大きな凹凸ができる「巨大乳頭結膜炎」が起こる場合もあります。
かゆみや異物感、目やにに加え、レンズがずれやすくなることがあります。レンズを洗えば使い続けてよいとは限らず、炎症がある間は装用を休んで治療する必要があります。
ただし、充血や目やには感染症でもみられます。症状からアレルギーと決めつけないでください。装用を休む判断と再開の考え方は、コンタクトレンズとアレルギーで詳しく説明しています。
参考サイト:日本眼科医会「防ごう目のトラブル!!コンタクトレンズの眼合併症」
参考サイト:クーパービジョン「コンタクトレンズと目の病気」
酸素不足による角膜の変化:症状が目立たない場合もある
角膜は主に空気中から酸素を取り入れています。長時間の装用や、終日装用のレンズをつけたまま眠ることなどで、酸素が不足すると、角膜がむくんだり炎症が起きたりする場合があります。
また、本来血管のない角膜へ血管が伸びる「角膜血管新生」や、角膜の内側にある内皮細胞の障害なども知られています。角膜血管新生は、自分で症状に気づかないまま進むことがあります。
酸素を通しやすい素材でも、決められた使い方を超えてよいわけではありません。痛みがないことだけを目の健康の判断材料にせず、定期検査で確認することが大切です。
参考サイト:日本眼科学会「コンタクトレンズ障害」
参考サイト:クーパービジョン「コンタクトレンズと目の病気」
なぜ目のトラブルが起こるのか
眼障害は「レンズが合わない」という一つの理由だけで起こるものではありません。目の状態、レンズの汚れや傷、装用時間、手入れなど、複数の要因が重なる場合があります。
摩擦・汚染・酸素不足が目の負担になる
原因と目への影響を整理すると、次のようになります。この表は、自分の症状から病名を判定するためのものではありません。
| 関係する要因 | 目への影響の例 | 見直すポイント |
|---|---|---|
| 乾燥やレンズとの摩擦 | 目の表面の傷、異物感 | 目の状態とレンズの適合 |
| 手指・レンズ・ケースの汚染 | 病原体が目に入るきっかけになる | 手洗い、洗浄・消毒、ケース管理 |
| レンズの付着物や刺激 | まぶたの裏の炎症やアレルギー症状 | 汚れ、交換周期、装用の可否 |
| 長すぎる装用などによる酸素不足 | 角膜のむくみや血管新生など | 指示された装用時間と方法 |
「毎日洗っている」「高性能なレンズを使っている」という点だけで、病気の可能性がなくなるわけではありません。日本眼科医会も、問題なく使っているつもりでも角膜感染症が起こる場合があると説明しています。
参考サイト:日本眼科医会「防ごう目のトラブル!!コンタクトレンズの眼合併症」
ワンデーや度なしのカラコンも、使い方の確認が必要
ワンデーは一度外したら再使用しないレンズです。洗浄して翌日に使うことはできません。また、毎回新品でも、汚れた手で扱ったり、装用時間を延ばしたりすれば、目に負担がかかります。
度なしのカラーコンタクトレンズも高度管理医療機器です。見た目や度数の有無だけで選ばず、眼科で目の状態とレンズの適合を確認してください。
参考サイト:日本コンタクトレンズ学会「消毒方法の特徴と使い捨てレンズのケア」
参考サイト:消費者庁「コンタクトレンズによる眼障害について」
異常を感じたときの対応と、受診を急ぐ症状
病名を自分で突き止めてから受診する必要はありません。まずはレンズを外し、いつもと違う症状とその経過を眼科へ伝えましょう。
装用を中止し、メガネに替えて相談する
痛みや充血、涙、目やに、かすみ、かゆみなどに気づいたら、次のように対応します。
- 手を洗ってレンズを外し、目をこすらない。
- メガネに替え、洗ったレンズや新品をつけて症状を試すことは控える。
- いつから、どちらの目に、どのような変化があるかを確認する。
- 眼科へ連絡・受診し、レンズの使用状況も伝える。
強い痛みなどで外せない場合は、無理に引っ張ったり何度も触ったりせず、すぐに眼科へ連絡してください。レンズを外せた後も、痛みや見えにくさが残る場合は受診を急ぎます。
ゴロゴロ感の原因や自分で確認できる範囲は、コンタクトレンズで目がゴロゴロするときの対処も参考にしてください。
参考サイト:消費者庁「コンタクトレンズによる眼障害について」
参考サイト:日本眼科医会「コンタクトレンズ関連情報」
強い痛み・見え方の変化・角膜の白い濁りは速やかに受診する
特に注意したいのは、強い痛み、レンズを外しても続く痛み、急なかすみや視力の低下です。黒目に白い点や濁りがある、まぶしくて目を開けにくい場合も、受診を急いでください。
これらの症状がなくても、充血や異物感、目やにが続いたり、装用のたびに不調を繰り返したりする場合は、装用を休んで早めに診察を受けます。次の定期検査の日まで待つ必要はありません。
「一晩休めばよい」「外すと少し楽だから大丈夫」と、経過だけで安全とは判断できません。診療時間外で強い症状がある場合は、眼科の救急対応が可能な医療機関へ相談しましょう。
参考サイト:日本眼科医会「防ごう目のトラブル!!コンタクトレンズの眼合併症」
参考サイト:PMDA「コンタクトレンズによる眼のトラブルを避けるための注意点」
目薬で受診を先延ばしにせず、再開時期も確認する
感染症、アレルギー、乾燥などでは、必要な対応が異なります。使い慣れた目薬で一時的に楽になっても、目の状態が改善したとは限りません。
治療を受ける場合は、目薬の使い方に加え、コンタクトレンズをいつから再開してよいかも確認してください。点眼後に一定時間待つことと、病気の治療中に装用してよいことは別です。一般的な点眼時の注意は、コンタクトレンズ対応の目薬と使い方にまとめています。
参考サイト:日本眼科医会「防ごう目のトラブル!!コンタクトレンズの眼合併症」
眼障害を防ぐために見直したい使い方
予防では、特別な手入れを増やすより、使っているレンズに合う方法を毎回守ることが基本です。生活の中で続けにくい手順があれば、自己流で省かず、眼科で相談しましょう。
装用時間・交換周期・睡眠時の扱いを守る
1日の装用時間は、レンズの種類と目の状態、眼科での指示によって異なります。ワンデーや2weekという交換周期だけから、「12〜16時間使える」などと一律に決めることはできません。
日中に使い、寝る前に外す終日装用のレンズは、つけたまま寝ないでください。医師の管理下で行う特別な装用方法を、通常のレンズへ自己判断で当てはめることも避けましょう。
2weekは、装用した日を合計して14日ではなく、開封後2週間で交換します。見た目がきれいでも、決められた交換日を延ばさないことが大切です。
参考サイト:PMDA「コンタクトレンズによる眼のトラブルを避けるための注意点」
参考サイト:クーパービジョン「コンタクトレンズと目の病気」
レンズとケースを、それぞれ正しく管理する
再使用するソフトレンズは、適切な洗浄・消毒が必要です。こすり洗いには、付着した汚れや微生物を落とし、消毒剤が働きやすくする役割があります。つけ置きだけで汚れがすべてなくなるとは考えないでください。
ケースも、微生物がレンズに付く経路になり得ます。ケア用品の説明に沿った洗浄・乾燥・交換まで含めて、毎日の手入れとして考えましょう。
| 避けたい使い方 | 日頃の対応 |
|---|---|
| 手を洗わずに着脱する | つける前も外す前も、石けんで手指を洗う |
| ソフトレンズを水道水で洗う・保存する | 適合するケア用品を使い、水や自家製食塩水で代用しない |
| 汚れたケースを使い続ける | 指定の方法で洗浄・乾燥し、定期的に交換する |
| 落ちない汚れや傷のあるレンズを使う | 使用を中止し、交換やケア方法を眼科へ相談する |
ハードとソフトではケア方法が異なります。別の種類のレンズで行っている方法をそのまま流用せず、医師の指導と製品の説明書を確認してください。
参考サイト:日本コンタクトレンズ学会「正しいレンズケアの基本ルール」
参考サイト:PMDA「ソフトコンタクトレンズのこすり洗いとケアの注意点」
自覚症状がなくても、定期検査を受ける
「よく見える」「つけ心地が悪くない」だけでは、レンズと目が健康かどうかを判断しきれません。毎日のケアと、眼科での確認を組み合わせましょう。
目の状態・レンズの汚れ・フィッティングを確認する
PMDAは、レンズの状態、フィッティング、目の状態を定期的に確認する重要性を案内しています。自分では気づきにくい変化も、検査で確認する必要があります。
検査の間隔は、目の状態や使用するレンズに応じて眼科医に決めてもらいましょう。購入先が変わっても、同じ製品を長年使っていても、定期検査を省いてよい理由にはなりません。
見え方が変わったときも、度数だけを自己判断で変えるのは避けてください。視力が下がる原因は屈折の変化だけとは限らないため、まず眼科で確認します。
参考サイト:PMDA「コンタクトレンズ使用中の定期検査が必要な理由」
参考サイト:日本眼科医会「コンタクトレンズ関連情報」
受診時は、使い方も具体的に伝える
症状が出たときだけでなく、普段の検査でも、実際にどのように使っているかを伝えると相談が具体的になります。製品名や経過がわかるよう、次の情報を整理しておきましょう。
- レンズの製品名、開封日・交換日、1日の装用時間
- 使用しているケア用品と、レンズ・ケースの手入れ方法
- いつから、どちらの目に、どのような症状があるか
- つけたまま寝たことや、装用時間を超えたことがあるか
- 使用中の目薬と、受診までに行った対処
実際の使い方がわかると、レンズの選択やケアを見直す手がかりになります。忙しい日や旅行中にケアを続けにくいなど、困っている場面もそのまま相談してください。
初めての検査や処方の流れを確認したい方は、コンタクトレンズを初めて作るときの眼科受診も参考になります。
参考サイト:日本コンタクトレンズ学会「正しいコンタクトレンズのケア」
まとめ
コンタクトレンズの使用に伴う目の病気には、角膜の傷、感染性角膜炎や角膜潰瘍、アレルギー性結膜炎、酸素不足による角膜の変化などがあります。症状は重なることがあり、自覚症状が目立たない障害もあるため、見え方やつけ心地だけで判断しないことが大切です。
痛み・充血・目やに・かすみなどに気づいたら装用を中止し、眼科へ相談しましょう。強い痛みや見え方の変化がある場合は、受診を急いでください。日頃は手洗い、適切なレンズとケースのケア、装用時間と交換周期を守ります。使えるメガネを用意し、症状がなくても指示された定期検査を受け、無理なく続けられる使い方を相談しましょう。