乱視用コンタクトレンズとは?トーリック・ハード・ソフトの違い

「乱視と言われたけれど、コンタクトレンズは使える?」「トーリックとハード、ソフトはどう違うの?」。商品名や種類が多く、何を基準に選べばよいのか迷いますよね。

乱視の矯正には、乱視用の設計を持つトーリックソフトレンズや、ハードレンズが使われます。どちらが合うかは、乱視の種類・強さだけでなく、角膜の形、涙の状態、実際に装着したときの見え方で変わります。近視用レンズの度数を自分で強めるだけでは、十分に矯正できないことがあります。

この記事では、乱視用コンタクトレンズの仕組みと種類、眼科で確認すること、使い始めてからの注意点をまとめます。

乱視用コンタクトレンズと一般的なレンズは何が違う?

乱視を矯正するには、見えにくさの原因と、それに対応するレンズの働きを知ることが大切です。まずは「乱視用」「トーリック」という言葉を整理しましょう。

乱視は近視・遠視とは別に矯正を考える

乱視は、角膜や水晶体の形状などの影響により、光が一点に集まりにくい状態です。物がぼやけたり、文字がにじんだりすることがあり、近視や遠視と一緒に存在する場合もあります。

一般的な近視・遠視用のソフトレンズだけでは、乱視によるぼやけが残ることがあります。そこで、方向によって異なる屈折力を持たせた乱視用のレンズを使い、見え方を補正します。乱視用だから近視や遠視を矯正できない、という意味ではありません。

ただし、ぼやけの原因は乱視だけではありません。乾燥や目の病気なども考えられるため、症状から自分でレンズを選ぶのではなく、眼科で原因を確認しましょう。

参考サイト:クーパービジョン「目に関する質問」
参考サイト:日本眼科医会「コンタクトレンズ関連情報」

「トーリック」は設計、「ハード・ソフト」は素材の区分

トーリックレンズは、互いに直角となる方向でカーブが異なる面を持ち、乱視を矯正するレンズです。一方、ハードとソフトは素材や硬さによる分類です。トーリック・ハード・ソフトが、別々の3種類として並ぶわけではありません。

一般に「乱視用ソフトコンタクトレンズ」として扱われるのが、トーリックソフトレンズです。ハードレンズにもトーリック設計がありますが、通常の球面設計のハードレンズで乱視を矯正できる場合もあります。

分け方主な呼び方何を表すか
素材・硬さハード、ソフトレンズの材質や硬さ
乱視を矯正する設計トーリック方向によって異なる屈折力を持つ設計
交換する周期ワンデー、2weekなど新しいレンズへ交換するまでの期間

たとえば「ワンデーのトーリックソフトレンズ」は、柔らかい素材で乱視を矯正し、1日で使い捨てるレンズということです。分類を分けて考えると、自分が比べているのが見え方の仕組みなのか、使い方なのかが分かりやすくなります。

参考サイト:日本眼科学会「コンタクトレンズ診療ガイドライン 第7章」
参考サイト:メニコン「コンタクトレンズの種類と特徴」

トーリックソフトとハードは乱視を補う仕組みが違う

どちらも乱視の矯正に使われますが、目の上での働きは同じではありません。「柔らかいほうがよい」「乱視が強ければハード」と決める前に、特徴を見ていきましょう。

トーリックソフトは、乱視の向きに合った位置で安定させる

トーリックソフトレンズでは、乱視を補う向きが重要です。装用中にレンズが回転して向きがずれると、矯正が十分に働かず、見え方が変わることがあります。

そのため、レンズの厚みの配置などを工夫し、まぶたの働きを利用して向きを安定させる設計が採用されています。ただし、回転を抑える設計は「絶対に動かない」という意味ではありません。実際の位置や動きは、レンズと目の組み合わせで変わります。

度数が合っているかに加えて、まばたきの前後でも見え方が安定するかを確認することが大切です。つけ方や目印の扱いは製品ごとの指導に従い、見えにくいからと目の上で無理に回して調整しないでください。

参考サイト:クーパービジョン「乱視用コンタクトレンズはどうやって乱視矯正しているの?」

ハードはレンズと角膜の間にできる涙の層も働く

ハードレンズは硬く、装用中も形を保ちます。レンズの後面と角膜の間にできる涙の層がレンズのように働き、角膜の形状による乱視を補うため、球面設計でも矯正できる場合があります。

ただし、ハードを使えばどの乱視も十分に矯正できるわけではありません。矯正しきれない乱視が残る場合や、目の上での収まり方が合わない場合には、別の設計を検討することもあります。

初めは異物感を覚える方もいますが、強い痛みまで「慣れる途中」と我慢する必要はありません。装用感と見え方の両方を眼科で確認して選びます。

参考サイト:日本コンタクトレンズ学会「コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)」
参考サイト:日本眼科医会「子どものコンタクトレンズQ&A」

特徴を比べても、自分に合うかは装着して確認する

一般的な傾向をまとめると、次のようになります。素材の名前だけで、見え方や安全性の優劣を決めるための表ではありません。

比較項目トーリックソフトレンズハードレンズ
乱視を補う方法レンズの方向ごとの屈折力で補い、向きを安定させるレンズと涙の層で角膜乱視を補う。必要に応じてトーリック設計も使う
主な選択場面正乱視で、対応する度数・軸があり、装用状態が合う場合角膜乱視や不正乱視などで、見え方の改善が見込める場合
装用感・動き柔らかく、初めの異物感が比較的少ない。回転の確認が必要初めに異物感が出やすく、位置や動きの確認が必要
日常での扱いワンデーや定期交換など、製品に応じた交換・ケアを行う製品に合うケアと、指示された時期の交換を行う

スポーツでの使用など、外れにくさを重視してソフトを検討する場合もあります。ただし、競技内容や見え方、装用状態によって判断は変わります。ハード・ソフト全体の特徴は、ハードコンタクトとソフトコンタクトの違いでも解説しています。

参考サイト:メニコン「コンタクトレンズの種類と特徴」
参考サイト:日本眼科医会「子どものコンタクトレンズQ&A」

乱視の種類と生活に合うレンズを選ぶには

乱視の強さだけでなく、どのような乱視なのか、何をするときに使いたいのかも大切です。製品名を先に決めるより、眼科で確認したい希望を整理しておきましょう。

正乱視と不正乱視で選択肢が変わる

正乱視は、方向による屈折力の違いに一定の規則性がある乱視です。乱視用ソフトレンズやメガネなどで矯正します。一方、角膜の傷や円錐角膜などに伴う不正乱視は、形状が不規則で、一般的なメガネやソフトレンズでは十分な矯正が難しい場合があります。

不正乱視ではハードレンズが役立つことがありますが、角膜の状態に合う設計や専門的な処方が必要です。「不正乱視」と聞いたからといって、市販のハードレンズを自分で選ばないようにしましょう。

また、正乱視でも、対応する度数や軸の範囲は製品によって異なります。購入画面に自分と同じ数値がないときは、近い数値で代用せず、処方した眼科に相談してください。

参考サイト:クーパービジョン「乱視や乱視用コンタクトレンズのよくある質問」

軽い乱視でも、困っている見え方を伝える

乱視があると分かっただけで、全員に同じ種類のレンズが必要になるわけではありません。一方で「軽いと言われたから相談しなくてよい」と考える必要もありません。実際にどの程度見えにくいか、どの場面で困るかを伝えることが、矯正を検討する手掛かりになります。

たとえば「遠くの案内表示の文字がにじむ」「夜に見えにくい」「まばたきのあとにぼやける」など、具体的に説明しましょう。いつもなのか、片目だけなのか、夕方に多いのかも役立つ情報です。

近視用ソフトレンズの度数を強くしても、乱視によるにじみを十分に補えるとは限りません。見え方を比べながら、必要な矯正とレンズを眼科で決めていきます。

参考サイト:クーパービジョン「あなたの乱視は矯正すべき?」

交換周期と素材の数字だけで快適さを決めない

ワンデーは外したら捨てるため、使用後のレンズケアが不要です。2weekなど繰り返し使うソフトレンズは、決められた交換期限を守り、毎回の洗浄・消毒・保存を行います。どちらでも、手洗いや正しい取り扱いは必要です。

「パソコン作業が多いから2week」「初心者なら必ずワンデー」と一律に決めず、使う頻度やケアを続けられるか、必要な度数の製品があるかを相談しましょう。費用を比べる場合も、箱の価格だけでなく使用日数やケア用品を含めて考えます。

また、酸素を通す性能や含水率は参考になりますが、その数値だけで乾きにくさや自分の目への適合は決まりません。高い酸素透過性を理由に、装用時間を延ばしてよいわけでもありません。

交換周期ごとの扱いは、ワンデー乱視用コンタクトの特徴と、2week乱視用コンタクトの特徴で紹介しています。

参考サイト:メニコン「コンタクトレンズの種類と特徴」

眼科では度数とフィッティングを確認する

コンタクトレンズは目に直接のせる医療機器です。乱視用かどうかにかかわらず、購入前に目の状態を調べ、実際に装着して確認することが欠かせません。

機械の測定値だけではレンズは決まらない

検査では、近視・遠視や乱視の度数、角膜のカーブなどを調べます。そのうえで、検査用レンズを通した本人の見え方を確認します。機械で出た数値を、そのまま購入するレンズの数値にすればよいわけではありません。

乱視用ソフトレンズでは、乱視度数を表すCYL、乱視の方向を表すAXISなども使います。BCはレンズのベースカーブ、DIAはレンズの直径を示す値ですが、これらの数値が一致していても、製品が違えば同じ装用状態になるとは限りません。

メガネの処方値をそのまま使ったり、別製品へ自己判断で置き換えたりせず、製品名を含めた処方内容を確認してください。

参考サイト:クーパービジョン「乱視の検査方法について」

試したレンズが目の上でどう動くかを見る

フィッティングは、レンズが目に合っているかを確認することです。よく見えるかだけでなく、位置や動き、角膜への影響などを見ます。トーリックソフトでは、回転と向きの安定も重要です。

一般的には、次のような流れで進みます。検査の内容や順序は、目の状態や装用経験によって変わります。

  1. 見えにくい場面、装用経験、使いたい目的を伝える
  2. 目の健康状態、視力・屈折、角膜の形状などを調べる
  3. 候補のレンズを装着し、位置・動き・回転を確認する
  4. レンズをつけた状態で見え方を調べ、必要に応じて種類や度数を調整する
  5. つけ外しとケアの指導を受け、装用時間・交換時期・次回の検査を確認する

初めての方は、つけ外しの練習も含めて受診先に流れを聞いておくとよいでしょう。初めてのコンタクトレンズを作る流れも参考にしてください。

参考サイト:日本コンタクトレンズ学会「コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)」

診察では、今の使い方と困りごとを共有する

すでにコンタクトを使っている場合は、今の製品名や度数が分かる箱・情報を用意しましょう。次の点を整理しておくと、診察で説明しやすくなります。

  • いつ、どちらの目が、何を見るときに見えにくいか
  • まばたきの前後で見え方が変わるか
  • 1日の装用時間と、週に使う日数
  • 乾燥感、痛み、充血、アレルギーなどの有無
  • レンズの交換時期と、普段行っているケア
  • 仕事・勉強・スポーツなど、使いたい場面

「今のレンズが合わない」とだけ伝えるより、困りごとを具体化すると、何を確認するかが整理しやすくなります。装用して来院するか、外して行くかは受診先へ確認してください。

乱視用でも見えにくいときは、自己調整せず相談する

乱視用レンズに替えたあとも、見え方やつけ心地が合わないことはあります。「乱視用だから仕方がない」と我慢せず、目の状態も含めて確認しましょう。

ぼやけの原因を回転や度数だけに決めつけない

見え方が不安定な場合、度数や軸、レンズの回転・フィッティングに加え、乾燥、汚れ、左右の取り違え、目の病気なども確認が必要です。自分で原因を特定して、度数を変えたりレンズを買い直したりするのは避けてください。

痛み、充血、違和感、視力低下などがあれば、直ちに装用を中止して早めに眼科を受診しましょう。急に見えなくなった、強く痛むといった場合は、定期検査の日を待たずに受診してください。見えにくいまま運転を続けることも避けます。

参考サイト:日本眼科医会「コンタクトレンズ関連情報」

調子がよくても、装用ルールと定期検査を守る

見え方に問題がなくても、レンズの状態や目の変化を自分だけで判断することはできません。定期検査は眼科医に指示された時期に受け、交換期限と装用時間を守りましょう。

繰り返し使うレンズは、レンズに適したケア用品を説明書どおりに使用します。ソフトとハードでケアを同じものと考えず、分からない点は処方時に確認してください。外して過ごせるよう、普段から使えるメガネも用意しておくとよいでしょう。

「一度処方してもらったから、同じ数値でずっと買えばよい」とは限りません。製品を変更したいときや、これまでと見え方が変わったときも眼科へ相談してください。

参考サイト:日本眼科医会「子どものコンタクトレンズQ&A」

まとめ

乱視用コンタクトレンズは、乱視の種類や目の状態に合わせて選びます。トーリックソフトは乱視を補う向きが安定するよう設計され、ハードではレンズと角膜の間の涙の層も矯正に働きます。トーリックは設計、ハード・ソフトは素材の区分なので、それぞれの違いを分けて理解しましょう。

自分に合うレンズを選ぶには、眼科で度数や角膜の状態を調べ、実際に装着した見え方とフィッティングを確認することが大切です。生活に合う交換周期やケア方法も相談してください。使い始めたあとに痛み・充血・見えにくさなどがあれば装用を中止して受診し、調子がよいときも定期検査と装用ルールを守りましょう。

関連記事

目次