ベンザルコニウム塩化物配合の目薬はコンタクト中に使える?

目薬の成分欄に「ベンザルコニウム塩化物」と書かれていて、コンタクトレンズをつけたまま使ってよいか迷うことはありませんか。防腐剤として使われる成分ですが、とくにソフトコンタクトレンズでは吸着が問題になることがあり、使い方の確認が必要です。

基本は、レンズを外して点眼することです。ただし、実際の使用方法は目薬の製品表示と、目の状態を踏まえた医師・薬剤師の指示で確認します。「ハードなら何でも使える」「少量ならつけたままでもよい」とは判断できません。

この記事では、ベンザルコニウム塩化物に注意が必要な理由、ソフト・ハード・カラーで確認したい違い、点眼後の再装用までを説明します。

参考サイト:日本眼科医会「防ごう目のトラブル!!コンタクトレンズの眼合併症」

ベンザルコニウム塩化物は、目薬に何のために入っている?

成分名だけを見ると、不安になるかもしれません。まずは薬液の中での役割と、レンズを使うときに問題になる点を分けて理解しましょう。

薬液中の微生物の繁殖を抑える防腐剤

ベンザルコニウム塩化物は、目薬に用いられる代表的な防腐剤の一つです。「塩化ベンザルコニウム」や「BAK」と表記されることもあります。開封して繰り返し使う目薬では、薬液中で微生物が繁殖するのを抑える目的で防腐剤が配合されます。

一方、防腐剤を配合せずに必要な防腐力を持たせた製品もあります。BAKがすべての目薬に欠かせないわけでも、配合されていれば直ちに危険というわけでもありません。治療に用いる有効成分と、薬液の品質を保つための添加物には、それぞれ役割があります。

参考サイト:ライオン「点眼薬における防腐剤無配合組成の研究発表」

ソフトレンズへの吸着が、注意される理由の一つ

BAKはソフトコンタクトレンズに吸着されることがあります。成分がレンズに取り込まれてとどまると、レンズの変形や着色、角膜や結膜の表面への影響が懸念されます。角膜は黒目の表面にある透明な組織で、点眼する薬液にも接する部分です。

このため、「いつも裸眼で使っている目薬だから、レンズの上からでも同じ」とは考えないでください。参天製薬の医療関係者向け資料でも、装用中の点眼では、防腐剤に加えて有効成分などがレンズへ及ぼす影響を考慮すると説明されています。

また、研究で角膜への影響が示されていても、その結果だけから手元の目薬の安全性を順位づけることはできません。大切なのは、その製品がどのような条件で使うよう案内されているかです。

参考サイト:参天製薬「服薬指導(点眼剤):コンタクトレンズ装用中の点眼」

ソフト・ハード・カラーで、確認することは違う?

レンズによって、目薬の使用上の注意が異なります。「コンタクト用」といった言葉だけで済ませず、自分のレンズの種類まで照らし合わせましょう。

ソフトとハードを同じ条件で考えない

ソフトレンズでは、BAKの吸着に関する注意が添付文書に記載されている製品があります。例えば、チモロール点眼液「ニッテン」では、ソフトレンズを外してから点眼し、所定の間隔をあけて再装用するよう案内されています。

ハードレンズは、ソフトと同じ扱いとは限りません。ただし「ハードならBAK入りの目薬はすべて装用中に使える」と広げて解釈するのは避けましょう。点眼後にゲル化する製剤や懸濁性の点眼液など、ハードでも外す必要がある薬があります。目の病気のために、装用そのものを控える場合もあります。

使用中のレンズ確認したい点判断するときの注意
ソフトコンタクトレンズBAKの吸着に関する注意、装用中の使用可否、外した後の再装用間隔ワンデーでも「使い捨てだから影響しない」と考えない
ハードコンタクトレンズハード装用中に使用できる製品か、薬の性質や治療上の制限ソフトへの注意書きだけを見て、ハードは無条件に使えると判断しない
カラー・サークルレンズカラー対応の明記、除外条件、レンズ側の説明書透明なソフトレンズへの対応を、そのまま当てはめない

表は確認する項目を整理したもので、使用可否を決める一覧ではありません。対応が読み取れないときは、目薬とレンズの製品名を伝えて薬剤師などへ確認してください。

参考サイト:PMDA「チモロール点眼液0.25%・0.5%『ニッテン』電子添文」
参考サイト:参天製薬「服薬指導(点眼剤)」

カラー対応は、防腐剤の表示と別に確認する

目薬によって、ハード・ソフト・カラーへの対応は違います。ロート製薬も、レンズの種類ごとに点眼できるかを外箱へ表示する取り組みを紹介しています。購入時は、パッケージにあるレンズ別の表示や注意書きを確認しましょう。

「BAKが入っていないならカラーにも使える」とも限りません。例えば、参天製薬の「ソフトサンティア ひとみストレッチ」は防腐剤無添加ですが、装用中に使える対象からカラーコンタクトレンズが除かれています。これは、無添加の表示だけでは使用可否が決まらない例です。

カラーだから一律に危険だと考えるのではなく、目薬とレンズの組み合わせを確認することが大切です。

参考サイト:ロート製薬「コンタクト装用中・裸眼時の点眼可否の表示について」
参考サイト:参天製薬「ソフトサンティアシリーズ」

成分欄でBAKを見つけたら、どこを読めばよい?

成分欄は、確認の出発点です。BAKの名前を見つけて使用を決める前に、使い方と相談事項まで目を通しましょう。

「成分・分量」と「使用上の注意」を行き来する

BAKは添加物として記載されることがあります。有効成分だけを見て「入っていない」と判断せず、添加物欄も確認してください。そのうえで、次の項目をセットで読みます。

  • 手元の目薬の正確な製品名と、使用目的
  • ソフト・ハード・カラーそれぞれの装用中の使用可否
  • 使用前に医師・薬剤師などへ相談すべき条件
  • 1回の滴数、1日の回数、レンズを外す必要の有無
  • 再装用までの間隔、開封後の期限、保管方法

例えば、成分欄にBAKがあり、注意書きに「ソフトレンズを外す」と書かれていれば、少量だけ点眼して様子を見る使い方には変えません。外す必要があることと、何分後につけ直せるかは、どちらも確認する情報です。

説明書をなくした場合は、メーカーやPMDAの情報で製品名が完全に一致するものを探すか、薬局に確認しましょう。似た名前の目薬や、以前使っていた別製品の説明を流用しないことが大切です。

参考サイト:PMDA「チモロール点眼液0.25%・0.5%『ニッテン』電子添文」

処方された薬は、BAKだけを理由に自己変更しない

病気の治療で処方された目薬は、コンタクトの使いやすさだけで選び直すものではありません。例えば、ラタノプロスト点眼液「センジュ」の患者向医薬品ガイドでは、自己判断で点眼を中止したり量を加減したりすると、病気が悪化することがあると説明されています。

防腐剤が気になるときは、医師・薬剤師へ、使っているレンズの種類と製品名、装用する時間帯を伝えて相談しましょう。「装用中に使えるか」だけでなく、「治療中もレンズを使ってよいか」「点眼と装用をどう組み合わせるか」を聞くと、生活に合った使い方を確認できます。

防腐剤無添加の製品について知りたい場合は、コンタクトレンズと目薬の防腐剤の注意点も参考にしてください。処方薬を自己判断で市販の目薬へ置き換えることは避けましょう。

参考サイト:PMDA「ラタノプロスト点眼液0.005%『センジュ』患者向医薬品ガイド」

レンズを外して点眼した後は、いつつけ直せる?

「外してからさせば、すぐにつけ直してよい」とは限りません。BAKを含む薬でも再装用の案内は一律ではないため、手元の製品の指示を確認します。

待ち時間は製品ごとに異なる

次の表は、BAKを添加物として含む処方薬の記載例です。薬の安全性や優劣を比較する表ではなく、再装用の指示が異なることを示しています。

製品の例レンズに関する記載再装用までの案内
チモロール点眼液0.25%・0.5%「ニッテン」BAKがソフトレンズに吸着されることがあるため、点眼前に外す点眼後、少なくとも5~10分間の間隔をあける
ラタノプロスト点眼液0.005%「センジュ」コンタクトレンズを外して点眼する。変色することがある点眼後、15分以上経過してからつける

チモロールの「5~10分」という幅のある記載についても、実際の使い方は処方時に確認してください。別の薬の待ち時間を、BAKを含むすべての目薬に当てはめることはできません。

また、ラタノプロストの同じガイドには、他の目薬を使う場合は5分以上あけるという別の記載もあります。「次の目薬まで」と「レンズの再装用まで」は異なるため、数字だけを拾わず、何の間隔かを読み分けましょう。病気や症状のために装用を休むよう指示されている間は、時間がたっても再開しません。

参考サイト:PMDA「チモロール点眼液0.25%・0.5%『ニッテン』電子添文」
参考サイト:PMDA「ラタノプロスト点眼液0.005%『センジュ』患者向医薬品ガイド」

点眼と、外したレンズの扱いをあわせて準備する

外す必要がある薬を使う日は、メガネへ切り替えられるようにしておくと対応しやすくなります。装用を続けるために点眼を抜くのではなく、事前に確認した方法に沿って使いましょう。

  1. 目薬の使い方と、再装用についての指示を確かめる。
  2. 手を洗い、レンズを外して、その種類に応じた扱いをする。
  3. 容器の先を目やまつ毛に触れさせず、指示された滴数を点眼する。
  4. まばたきを繰り返さず静かに目を閉じ、あふれた薬液を清潔なティッシュなどで拭く。
  5. 指定の間隔を守り、装用してよい状態であることを確認してからレンズをつける。

ワンデーレンズは、一度外したら再使用できません。点眼のために短時間外しただけでも、同じレンズをつけ直さないでください。再使用するレンズでは、必要なケアをレンズとケア用品の説明に従って行います。目薬の待ち時間が終わったことと、レンズのケアが済んだことは別です。

点眼の基本や目薬の選び方は、コンタクトレンズ対応の目薬と使い方でも説明しています。

参考サイト:参天製薬「目薬(点眼液・眼軟膏)の使い方」
参考サイト:メニコン「1日使い捨てコンタクトレンズ」

つけたまま点眼した、しみる・痛いと感じたときは?

誤って点眼したときや違和感が出たときは、装用を続けたまま原因を確かめようとしないことが大切です。目薬の名前だけでは、目に何が起きたかは判断できません。

間違いに気づいたら、追加で点眼せず使用方法を確認する

外して使う目薬を装用中にさしてしまった場合は、レンズを外し、製品名と使った状況を医師・薬剤師などへ伝えて相談してください。症状がなくても、残りの点眼や再装用をどうするか確認しましょう。「一度だけなら必ず問題ない」「必ず目を傷める」のどちらとも決めつけられません。

相談時には、レンズの種類、点眼した時刻と量、その後に感じた変化を伝えると役立ちます。別の目薬を何度もさして薄めようとしたり、自己判断で再装用して反応を試したりしないでください。

参考サイト:参天製薬「服薬指導(点眼剤)」

痛みや充血を「BAKのせい」と決めつけない

しみる感じ、痛み、充血などがあっても、原因がBAKとは限りません。コンタクトによる目のトラブルには複数の原因があり、自分で成分名だけから見分けることはできません。症状があれば装用を中止して眼科へ相談しましょう。

強い痛みや急な見えにくさ、レンズを外しても続く痛みがある場合は、速やかに受診してください。治療薬を使っている場合は、その薬も持参し、症状が出た後の点眼について指示を受けます。防腐剤無添加の目薬へ替えて様子を見続けるだけで、受診を遅らせないようにしましょう。

参考サイト:日本眼科医会「防ごう目のトラブル!!コンタクトレンズの眼合併症」

まとめ

ベンザルコニウム塩化物(BAK)は、目薬の品質を保つために使われる防腐剤です。一方、ソフトコンタクトレンズに吸着されることがあり、装用中の点眼には注意が必要です。成分名だけで判断せず、目薬の使用上の注意と、ソフト・ハード・カラーそれぞれへの対応を確認しましょう。

外して点眼する場合も、再装用までの間隔は製品ごとに異なります。処方薬は自己判断で中止・変更せず、レンズの使用状況を医師・薬剤師に伝えてください。ワンデーは一度外したら再使用できません。痛みや充血があれば装用をやめ、強い痛みや急な見えにくさがあるときは速やかに眼科を受診することが大切です。

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